Claude Code 1st Anniversary: これまでとこれから

Claude Code がリリースされてちょうど1年経ちました。2025年2月24日にClaude Sonnet 3.7と共に、Claude CodeはResearch Previewとしてリリースされました。
そのときの公式ブログは以下のリンクから参照できます。
正直、多くの人がClaude Codeが登場してまだ1年しか経過していないのかという感想を抱くのではないでしょうか。少なくとも私は1年前にClaude Code登場したとは未だに信じられないです。それくらい生活の一部になっています。
せっかくのClaude Codeの節目なので、Claude Codeについて自分が見聞きして考えていることをまとめてみたいと思います。技術的なトピックは2025年12月31日に以前記事にしたので、今回はもう少し抽象的な内容です(年末の記事も気合い入れて書いたので良かったら読んでみてください)。
Claude Codeがこの1年で与えた影響と、これからClaude CodeをはじめとしたAIツールが与える影響について自分の考えを書いてみます。
1年でClaude Codeが与えた影響
2025年2月24日にClaude Codeが世に放たれました。当時は一部のAIツールフリークがいち早く使っていただけと記憶しています。私も2025年3月から使い始めましたが、周りで使っている人は皆無でした。
そこから1年後の現在に至るまでに、Claude Codeはユーザー数を急激に伸ばしています。npm のダウンロード数を見るとざっくりとした推移は確認できます(もちろん現在はnpmではなくnative インストールが推奨されているため、実際の数字ではないとは思いますが。)
まだまだアーリーアダプターが使っているだけだとは思いますが、今後もClaude Codeのシェアは伸びていくように感じます。それはこの1年Claude Codeが様々なインパクトを残してきたためです。
ここではClaude Codeがこの1年で与えた影響について、いくつか見ていきたいと思います。
CLIツールである重要性
ソフトウェアの歴史において多くの場合、CLIからGUIへ進化を遂げています。見ただけで直感的に操作できるUIが好まれる傾向があったと思います。
Claude Codeが登場した時期も、AIツールはCursor, Windsurf, ClineといったVSCodeのフォークでコーディングをすることが主流だったと記憶しています。
そんな中でCLIツールとして登場したClaude Codeですが、当初はあまり人気がありませんでした。もちろんSonnet 3.7がClaude Codeのハーネスとしての価値を引き出すレベルに至っていなかったこともありますが、ユーザー側もあまりCLIツールに価値を感じていなかったところがあったと思います。
- コードの差分を見にくい
- コマンドを覚えるのが大変
- ターミナルの黒い画面はあまり触りたくない
このような理由でClaude Codeはあまり注目されていませんでした。
しかし、Claude Opus 4.0の登場やClaude Codeのハーネスがツールと共に整備されることで、AIコーディングの性能が高まった結果、CLIツールを忌避することよりも使うことで得られるメリットの方が大きくなりました。
ClaudeというLLMとClaude Codeというハーネスが進化したことで、コードの差分を以前よりも詳細に確認することは少なくなり、タスクを委譲できるようになりました。
またClaude CodeがCLIツールとして登場したことで、AIエージェントが使用しやすいツールとしてコマンドライン実行しやすいCLIツールやスクリプトに注目が集まりました。今ではCLIツールはAIエージェントの手足となり、作業領域を大幅に広げてくれる重要な役割を果たしています。 どのサービスもCLIから実行できる機能を提供をしているということが重要視されていると思います。
Claude Code自身がCLIツールであり、他のCLIツールが脚光を浴びるきっかけを作りました。個人的にはClaude CodeはCLIツールというより、もはやAgent UIとして進化を遂げていると考えています。この辺りは年末の記事でも触れています。
コンテキストという概念
AIコーディングについて調べるとコンテキストという言葉がよく出てくるようになりました。コンテキストは大規模言語モデル(LLM)がサンプリングを行う際に含まれるトークンの集合で、誤解を恐れずに言えばAIエージェントが保持できる記憶領域みたいなものです。
LLMが望ましい動作を引き出すために、このコンテキストの構成について考える技術、コンテキストエンジニアリング、が広まりました。ちなみにコンテキストエンジニアリングという言葉はPhilipp Schmidのブログが発祥だと目にしています。
Claude Codeはこのコンテキストという概念を広めるのに一役勝っていると思います。
Claude CodeのメモリファイルであるCLAUDE.mdを、どのように書けばClaude Codeの性能を十分に引き出せるかのベストプラクティスは度々目にしています。AIツールのコンテキストエンジニアリングの観点での最適化は、多くのユーザーが関心を寄せるトピックになりました。
また/contextコマンドにより、カテゴリごとのコンテキストの占有率を可視化できるようになったことで、さらにコンテキストという概念を意識するきっかけになりました。
さらに言うと、Subagents, Hooks, Skills, Multi-agent OrchestrationといったAIツールに関連する技術は、エンジニアリングワークフローの改善だけでなく、コンテキスト管理に直接・間接的に関与しています。これらの機能を先駆者として開拓してClaude Codeは他のAIツールにも大きな影響を与えていると言えるでしょう。
最終的にはコンテキストエンジニアリングは、LLMのコンテキストウィンドウが大きくなるにつれて考える必要はなくなっていくと思います。おそらく今年か来年には「コンテキストエンジニアリング?そんなものもあったね」という話になっている可能性が高いです。
振り返ってここに戻ってきた時に、コンテキストエンジニアリング(とプロンプトエンジニアリング)についてのAnthropicの技術ブログを置いておきます。
Effective context engineering for AI agents:
AIエージェントツールのオープンスタンダード
Claude Code(というよりAnthropic)はAIエージェントのためのツールのオープンスタンダード化にも寄与しました。
マイルストーンとしては色々なものを置いていますが、明確にオープンスタンダードになったものは以下の2つです。
- Model Context Protocol (MCP)
- Agent Skills (prev: Claude Skills)
MCPはClaude Codeが登場するちょうど3ヶ月前(2024年11月25日)に登場したものですが、Anthropicが提唱しただけあり、Claude CodeとClaude Desktopでの使いやすさが早々に注目されました。サービスをMCP化すればAIエージェントが扱えると言う触れ込みで数多くのMCPツールが作られました。 適切に使わないとコンテキストを圧迫しすぎることから、以前よりもMCPの熱狂度は落ち着きましたが、AIエージェントに提供するツールのプロトコルを提唱し、それをClaude Codeで実用して見せたのはインパクトを残したと思います。
Agent Skillsも2025年10月にAnthropicがClaude Skillsとしてリリースし、12月にAgent Skillsとしてオープンスタンダード化されました。 AIエージェントに動的に読み込めるスキル(Skills)を与えて、専門的な指示やリソースのパッケージ化をすることができるようになりました。 最近ではMCP以上にSkillsが有効な場面が多く、今後さらに注目されると思います。
このようにClaude CodeはAIエージェントに関する技術のオープンスタンダード化を積極的に行いました。
ただしAGENTS.md対応は頑なにせず、この後もすることはないだろうと思っています。
これから起こる技術的変化
AIコーディングへのシフト
Claude Codeに限った話ではありませんが、従来のコーディングからAIコーディングにシフトしている様子がよく見られます。
具体的には、
- コーディングはほぼ全てAIに任せる
- ファーストレビューもAIに任せる
- 人間はSpecの定義を行う
といった具合です。
Claude Opus 4.5が出た2025年11月ごろから、このような意見を目にすることが多くなった印象です。
今後エンジニアは、(幸か不幸か)コードを書く仕事から解放される世界になる未来が容易に想像できます。
実際Claude Codeの生みの親であるBoris Chernyも以前のポストで「全てのコードはClaude Codeが書いた」と話しているほどです。
“In the last thirty days, 100% of my contributions to Claude Code were written by Claude Code”
When I created Claude Code as a side project back in September 2024, I had no idea it would grow to be what it is today. It is humbling to see how Claude Code has become a core dev tool for so many engineers, how enthusiastic the community is, and how people are using it for all
今すぐに全てのコーディングがなくなることはありませんが、ミシンがある時代でも丁寧に編み物をするように、コーディングもそのような行為に変わっていく可能性が高いと個人的に思っています。
マルチエージェントとロングラン、そして高速化
Claude Codeが登場してからのAIコーディングの進化は目まぐるしいものでした。特にAIモデルとハーネスの進化により、AIエージェントの自律駆動性が高まったと感じています。
Claude Code、そしてAIエージェントの次のステージについて考察してみたいと思います。2年目のClaude Codeは以下のような観点で強化されると考えています。
- マルチエージェント(Multi-agent Orchestration)
- 長時間駆動(Long-running)
- 高速化(Fast execution)
マルチエージェントについては、年末の記事で少し触れました。個人的には2月末くらいに正式実装されるかなーとか思っていましたが、1月中旬過ぎにはAgent Teamsとして実装されたので、予想が甘かったです。まだまだResearch Preview段階ですが、今年一年はマルチエージェントオーケストレーションの領域が、Claude Codeだけでなく他のツールでも盛り上がると思います。Agent Teamsについては以下の記事もぜひ参考にしてください。
長時間駆動については、モデルの性能以上にハーネスであるClaude Codeの進化が必要です。HooksやSkillsを作り込めば現在でも長時間駆動は可能ですが、ユーザーがハーネスをカスタマイズをしっかりしていないとなかなか正確な長時間駆動は難しいです。最近ではRalph-loopも話題になっていますが、Claude Code自身の長時間駆動能力はまだまだ伸ばす余地があると思います。
最近になって高速なAIモデルも出てきました。Claude Opus 4.6 Fast は従量課金(extra usage)ですが、高性能な上にとても高速です。Claude以外のモデルを見ても、Cursor Composer 1.5 や gpt-5.3-codex spark など実行速度がとても早いモデルが出てきており、今後はモデルの性能と速度を両立できるようになる可能性があります。ハーネス側のコード走査なども速度に影響するためClaude Code側の改善も必要となりますが、高速実行は一つのトレンドになると思っています。
Agent UIの変化とエコシステム
Claude CodeはCLIというよりAgent UIとして進化しているという話をしましたが、Agent UIも変化していくと思います。
個人的にClaude Code on Desktopに注目したいです。Claude Code on Desktop はClaude のデスクトップ版のアプリで使えますが、最近になって急激に進化を遂げています。Desktop版を強化している理由としては、GUI操作を可能にしてより裾野を広くしてユーザーを獲得したいという意図だと思いますが、Claude Code, Coworkを搭載したClaude Desktopはすでに一つの独自のインターフェースに進化していると思っています。
Claude Code on Desktopは、ローカルのClaude Code CLIとリモートのClaude Code on the Webの両方にアクセスできるだけでなく、権限次第ではアプリケーションやOSレベルの操作も可能です。直近ではOpenClawが話題になっていますが、Claudeのエコシステムは現時点でも完成度が高く、一つのAgent UIとして新しい体験をユーザーに提供する進化をしていると思います。
これから起こる社会的変化
ここまで技術的な変化に触れてきましたが、Claude Codeは最近さらに注目されており、社会的にも変化を与え始めていると個人的に感じています。
非エンジニアへの普及
Claude Codeは2025年に大きく話題になっていたとはいえ、バズっていたのはアーリーアダプターのエンジニアの中だけだったと思います。ただ2026年に入ってClaude Codeはエンジニア以外も注目され始めたと思います。
一つの理由はおそらくOpenClawです。もともとOpenClawはClawdbotと名乗っており、Claude Codeをかなり意識していました(余談ですが、OpenClawは裏で使っていると言う人もいますが、実際はPiというAgent harnessが動いています)。
このOpenClawはエンジニア以外にも注目され、結果的にClaude Codeのユーザーも多様になっている印象です。特に最近ではデザイナーなどがClaude Codeを使うシーンを見ることも多いです。
コーディングの民主化
Claude Codeの開発者のBorisが自分でコードを書かないと話していたように、“コードを書く”と言う行為はClaude CodeをはじめとしたAIツールが大体できるレベルになっています。Claude Codeというインターフェースを使えば誰でもコードを書くことができるようになっている状況は、もはや「コーディングの民主化」が進んでいるといっても個人的には過言ではないと思っています。
Anthropic CEOであるDarioがダボス会議で6~12ヶ月後にはSoftware Engineerの仕事の大半はAIが担うと言う発言もあり、話題になっています。
I think… I don’t know… we might be six to twelve months away from when the model is doing most, maybe all of what SWEs do end to end.” (World Economic Forum: https://www.youtube.com/watch?v=02YLwsCKUww)
もちろんコーディングだけがSWEの仕事ではないですが、コーディング能力だけではClaude Codeに取って代わられるため、より高度な技術や知識がSWEの仕事で要求されることになると思います。もはやコーディングはエンジニアだけの特別なスキルではなくなります。
複数分野の横断の重要性
私がSoftware Engineerのためエンジニアの視点での話になりますが、今後は複数のドメインを横断できる能力がより要求されると考えています。一朝一夕で代替できないエンジニアリングスキルを持っている方は今後もエンジニアとして生きていけると思いますが、私も含めたそれ以外の人は複数分野に跨ることが今後生き残っていく道の一つだと思います。
逆に非エンジニアはもともとの専門領域をコーディングをClaude Codeにしてもらうことで、実現できることの範囲が大幅に広がりました。Anthropicが開催したグローバルハッカソンでも入賞者は全てエンジニア以外の領域の方だったことも興味深いです。
もともと複数領域のスキルを持っている人材は重宝されましたが、今後は生き残っていくためには否が応でもマルチドメインの能力が要求されると思っています。
終わりに
Claude Codeの登場は少なくとも私自身と環境を大きく変えました。振り返ってみると歴史の一部でそこまでインパクトがなかったと評価される可能性も無くはないですが、少なくともエンジニアリングの領域は今まさに大きく変化をしていると思います。
個人的にはClaude Codeとともに、このような変化の大きな時代に立ち会えていることはとても幸運だと感じています。今後も楽しみながらClaude Codeの進化の行く末を追いたいと思います。
P.S.
Don’t forget ultrathink…